室内のにおいが気になるとき、空気清浄機や脱臭機の導入を検討する方は多いでしょう。特にタバコの臭いやペットの臭い、料理の残り香などは、一度染み付くと換気だけではなかなか取れないものです。こうしたにおいの問題を解決する鍵となるのが「脱臭フィルタ」です。
しかし、一口に脱臭フィルタといっても、活性炭を使用したものや光触媒、プラズマ技術を応用したものなど、その種類や仕組みは多岐にわたります。使用する環境や除去したいにおいの種類によって最適なフィルタは異なるため、選び方を間違えると十分な効果が得られないこともあります。
本記事では、脱臭フィルタの基本的な仕組みから主な種類、それぞれのメリット・デメリット、そして使用シーンに合わせた選び方までを詳しく解説します。また、業務用の本格的なタバコ臭対策として実績のあるトルネックスの製品についても紹介します。

脱臭フィルタとは
脱臭フィルタは、空気中に漂う悪臭成分を取り除き、清潔な空気を循環させるために空調機器や空気清浄機に搭載されるフィルタのことです。まずは、においが発生するメカニズムと、脱臭フィルタがどのようにしてそのにおいを消しているのか、基本的な役割について解説します。
においが発生する仕組み
私たちが普段「におい」として感じているものは、空気中に浮遊しているガス状の物質(揮発性有機化合物など)が鼻の粘膜にある嗅覚受容体を刺激することで生じます。
においの原因となる物質は多種多様です。例えば、タバコの臭いにはアンモニア、アセトアルデヒド、酢酸といった数百種類以上のガス成分が含まれています。生ゴミの臭いはメチルメルカプタンや硫化水素、汗の臭いは酢酸やイソ吉草酸などが主な原因物質です。
これらの物質は非常に微細なガス分子であるため、ホコリや花粉を取るための一般的な「集塵フィルタ(プレフィルタやHEPAフィルタなど)」では捕集しきれず、素通りしてしまうことがほとんどです。そのため、におい対策にはガス成分に特化した「脱臭フィルタ」が必要となります。
脱臭フィルタの役割
脱臭フィルタの主な役割は、空気中からこれらのガス状のにおい成分を取り除くことです。その除去方法には、大きく分けて「吸着」と「分解」の2つのアプローチがあります。
- 吸着:
におい成分をフィルタの表面にある微細な孔(あな)に取り込み、物理的に閉じ込める方法です。活性炭フィルタが代表的です。即効性が高く、多様なにおいに対応できますが、吸着できる量には限界(飽和点)があります。 - 分解:
化学反応や電気的な作用によって、におい成分そのものを別の無臭な物質(水や二酸化炭素など)に変化させる方法です。光触媒やプラズマ脱臭などがこれにあたります。フィルタの飽和が起こりにくく効果が持続しやすい反面、反応に時間がかかる場合や、特定の成分にしか反応しない場合があります。
多くの高性能な脱臭装置では、これらを組み合わせたり、特定のにおいに特化した素材を使用したりすることで、効率的な脱臭を実現しています。
脱臭フィルタの主な種類
脱臭フィルタにはいくつかの種類があり、それぞれ得意とするにおいや特性が異なります。ここでは、一般家庭から業務用まで幅広く使われている主要な3つのタイプについて解説します。
活性炭フィルタ
最も普及しており、信頼性の高い脱臭フィルタの一つが「活性炭フィルタ」です。
活性炭は、木材やヤシ殻などを高温で炭化・賦活処理して作られた炭素材料です。その表面には目に見えないレベルの微細な孔(あな)が無数に開いており、この孔がにおいの分子を強力に吸着します。わずか1グラムの活性炭の表面積はテニスコート数面分にもなると言われており、その広大な面積で大量のにおい成分をキャッチします。
特徴:
- 広範囲な脱臭力:
タバコ臭、ペット臭、料理臭、体臭など、生活空間で発生する多くのにおい成分に対して高い吸着効果を発揮します。 - 即効性:
空気がフィルタを通過する瞬間ににおいを吸着するため、素早く効果を感じられます。 - 交換が必要:
吸着できる容量には限界があり、飽和すると効果がなくなります。また、吸着したにおいを逆に放出することもあるため、定期的な交換が必要です。
光触媒フィルタ
酸化チタンなどの触媒に紫外線(UV)やLEDの光を当てることで発生する強力な酸化力を利用し、におい成分や菌、ウイルスを分解・除去するフィルタです。
特徴:
- 持続性:
光が当たり続ける限り分解作用が続くため、基本的には交換不要か、長寿命であるケースが多いです。 - 再生能力:
フィルタ表面に付着した汚れも分解するため、性能が落ちにくいのが特徴です。 - 反応速度:
化学反応を利用するため、活性炭のような物理吸着に比べると、においを消すスピードは緩やかな場合があります。強いにおいが次々と発生する環境では処理が追いつかないことがあります。
プラズマ式(イオン方式)
高電圧をかけてプラズマ放電を起こし、発生したイオンやオゾン、ラジカルなどの活性種によって、におい分子を酸化分解する方法です。フィルタという形状ではなく、発生装置として組み込まれることが多いですが、集塵ユニットと一体化して脱臭機能を持たせているものもあります。
特徴:
- 集塵と脱臭の両立:
電気的な力で微粒子(タバコの煙や花粉)を吸着・除去する集塵機能と同時に、ガス成分の分解を行うことができます。 - 強力な分解力:
タバコの煙のような、粒子とガスが混在する複合的な汚れに対して高い効果を発揮します。 - メンテナンス:
電極板などを洗浄することで性能を回復できるため、ランニングコストを抑えやすい利点があります。
用途別に見る脱臭フィルタの選び方
設置する場所や解決したいにおいの種類によって、選ぶべきフィルタは異なります。ここでは具体的なシーンに応じた選び方を紹介します。
家庭でのにおい対策(タバコ・ペット・生活臭)
家庭のリビングや寝室などで、日常的な生活臭やペットのにおい、時々の喫煙によるにおいを対策したい場合は、取り扱いが簡単で即効性のあるタイプが向いています。
- 推奨: 活性炭フィルタ搭載の空気清浄機
一般的な家庭用空気清浄機には、集塵フィルタ(HEPA等)とセットで脱臭フィルタ(活性炭など)が搭載されています。ペットのトイレ臭や料理の臭いなど、突発的に発生するにおいを素早く低減するのに適しています。
ただし、喫煙頻度が高い場合や、ペットのにおいが染み付いている場合は、標準のフィルタではすぐに寿命が来てしまうことがあります。その場合は、脱臭機能に特化した専用機や、フィルタ交換が容易でコストパフォーマンスが良い製品を選ぶと良いでしょう。
オフィス・喫煙所などの業務空間
オフィスの喫煙室や飲食店のホール、会議室など、人が多く集まり、強いにおいが継続的に発生する場所では、家庭用とは異なる基準で選定する必要があります。
- 推奨: 業務用脱臭機、大型活性炭フィルタ、プラズマ脱臭装置
特に喫煙所では、短時間に大量の煙(粉塵とガス)が発生します。家庭用の薄いフィルタでは瞬く間に目詰まりを起こし、脱臭能力もすぐに飽和してしまいます。
そのため、容量の大きな活性炭フィルタや、メンテナンスによって性能を維持できるプラズマ式集塵脱臭装置が選ばれます。特に、排気ダクトがない場所で空気を循環させて清浄化する場合は、一度の通過で高い除去率を誇る高性能なフィルタシステムが必要です。

においの種類に合わせたフィルタ選定
特定のにおいが原因である場合、その成分に特化したフィルタを選ぶことで効果を高めることができます。
- タバコ臭:
タバコ臭は、アセトアルデヒド、アンモニア、酢酸の「3大悪臭成分」を含んでいます。これらを効率よく吸着するように化学修飾された活性炭フィルタや、電気的に分解するプラズマ方式が有効です。 - 油臭・料理臭:
飲食店厨房などの油煙が混じるにおいは、フィルタを目詰まりさせやすいため、まずはオイルミストを除去するフィルタを通し、その後に脱臭フィルタを通す多段階の構成が必要です。 - 新築・リフォーム臭(VOC):
建材や接着剤から出る揮発性有機化合物(VOC)には、化学物質の吸着に優れた活性炭や、分解能力のある光触媒などが用いられます。
脱臭フィルタのメンテナンスと交換目安
脱臭フィルタは「設置すれば終わり」ではありません。効果を維持し続けるためには、適切なメンテナンスと交換が不可欠です。
交換サイクルの考え方
フィルタの交換時期は、使用環境によって大きく異なります。
カタログスペックで「交換目安10年」と記載されていても、それはあくまで「一般的な家庭環境で1日にタバコ5本を吸った場合」などの試験条件に基づいた数値です。
喫煙所のような高濃度な環境で使用すれば、数週間から数ヶ月で寿命が来ることも珍しくありません。においが取れなくなったと感じたり、排気口から酸っぱい臭いがし始めたりしたら、交換のサインです。無理に使い続けると、吸着したにおいを逆に放出してしまい、逆効果になることがあります。
清掃やメンテナンスの注意点
- プレフィルタの清掃:
脱臭フィルタの手前には、大きなホコリを取るプレフィルタが付いています。これが詰まると風量が落ち、脱臭効率も下がります。2週間に1回程度は掃除機でホコリを吸い取るか、水洗いを行いましょう。 - 脱臭フィルタの取り扱い:
活性炭フィルタの多くは水洗いができません(水洗いで性能が落ちたり、型崩れしたりするため)。表面のホコリを軽く吸い取る程度にとどめ、基本的には「使い捨て」として管理するのが一般的です。
一方、プラズマ集塵ユニットや一部のセラミックフィルタなどは、水洗いで再生できるものがあります。製品の取扱説明書をよく確認し、正しい方法で手入れを行うことが重要です。
長期利用時のコスト
業務用として導入する場合、イニシャルコスト(本体価格)だけでなく、ランニングコスト(フィルタ交換費用)を試算しておくことが重要です。
安価な脱臭機を導入しても、フィルタの寿命が短く頻繁に交換が必要であれば、トータルコストは高くなります。逆に、本体価格が高くても、フィルタが長寿命であったり、洗浄再生が可能であったりすれば、長期的な運用コストは安く抑えられます。
喫煙本数や稼働時間を想定し、年間でどれくらいの維持費がかかるかをシミュレーションして選定することをお勧めします。
トルネックス製品で利用できる脱臭フィルタ
業務用の喫煙所システムや空気清浄機を展開するトルネックスでは、過酷な喫煙環境でも確実ににおいと煙を除去するために、独自の技術と選び抜かれたフィルタを採用しています。
プラズマ分解方式の特長
トルネックスの代表的な製品である「高性能プラズマ集塵脱臭装置(VFLJP)」には、プラズマ荷電技術が採用されています。
これは、吸い込んだ汚れた空気に高電圧をかけてプラズマを発生させ、タバコの煙に含まれる微細な粉塵を帯電させて強力に集塵すると同時に、においの元となるガス成分を分解・低減させる仕組みです。
一般的な紙フィルタではすぐに目詰まりしてしまうような粘着性のあるタバコのヤニ汚れに対しても、電気集塵方式であれば風量を維持したまま長期間稼働させることができます。また、集塵ユニットは洗浄することで性能が回復するため、廃棄物を減らし、環境負荷の低減にも貢献します。
喫煙環境での脱臭性能
様々な脱臭技術がある中で、トルネックスでは特に「活性炭フィルタ」の有効性を重視し、製品に採用しています。
プラズマによる集塵・分解に加え、後段に配置された特殊吸着剤入りの活性炭フィルタが、取り切れなかったガス状成分を徹底的に吸着します。タバコ臭特有のアンモニア、アセトアルデヒド、酢酸といった成分に対して最適化された活性炭を使用することで、ワンパス(一度の通過)での除去率を高めています。
分煙脱臭ブース(IKBJP)においても、この活性炭フィルタの採用により、屋内に排気しても臭いが気にならないレベルまでの浄化を実現しています。改正健康増進法の技術的基準(TVOC除去率95%以上)をクリアするためには、この活性炭による吸着能力が欠かせません。
メンテナンス性
トルネックス製品は、メンテナンスのしやすさも考慮されています。
電気集塵ユニットは定期的な洗浄で繰り返し使用可能ですが、活性炭フィルタなどの消耗品についても、交換時期が分かりやすく、交換作業も容易に行える設計になっています。
また、お客様自身での管理が難しい場合は、専門スタッフによる定期メンテナンスサービスを利用することで、常に最適な脱臭性能を維持することが可能です。フィルタの汚れ具合に応じた適切なタイミングでの交換や洗浄を行うことで、急な性能低下やトラブルを防ぎます。
屋内外対応喫煙ブース+ 高性能プラズマ集塵脱臭装置の導入事例
千葉県の空港では、国際交流を支える拠点空港として、トルネックスの屋内外対応喫煙ブース+ 高性能プラズマ集塵脱臭装置を導入いたしました。
■千葉県/空港
■屋内外対応喫煙ブース+ 高性能プラズマ集塵脱臭装置


トルネックスの脱臭・分煙設備サポート
トルネックスでは、機器の販売だけでなく、お客様の抱えるにおいの課題に合わせたトータルソリューションを提供しています。
「喫煙所の臭いが執務室に漏れて困っている」「換気扇のダクト工事ができない場所に喫煙所を作りたい」といった相談に対し、現場の状況確認(風速測定や煙の挙動確認など)を行い、最適な機種とフィルタ構成を提案します。
例えば、既存の喫煙室の換気不足を補うために天井裏に脱臭装置を設置したり、オフィスの一角に工事不要の分煙脱臭ブースを導入したりと、ニーズに合わせた柔軟な対応が可能です。また、導入後も全国対応のメンテナンスネットワークにより、安心して長く使い続けられる体制を整えています。
まとめ
脱臭フィルタは、快適な空気環境を作るための「要」となる部品です。
家庭での生活臭対策から、オフィスの喫煙所における強力な脱臭まで、用途に合わせたフィルタ選びが効果を最大化します。特にタバコ臭のような複合的で強いにおいに対しては、集塵能力とガス吸着能力の両方を備えた高性能なシステムが必要です。
トルネックスでは、活性炭フィルタの優れた吸着力とプラズマ技術を組み合わせることで、業務用の厳しい基準を満たす脱臭ソリューションを提供しています。においの問題解決をお考えの際は、ぜひ専門的な技術を持つメーカー製品を検討してみてください。脱臭フィルタ選びや喫煙環境の改善については、WEB面談で詳しくご相談いただけます。お気軽にお問い合わせください。
