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完全分煙を実現する方法|設備要件と選び方を解説

完全分煙とは、喫煙エリアと非喫煙エリアを物理的に明確に区分し、煙や臭いが非喫煙エリアに一切漏れない状態を指します。現在ではオフィスや商業施設において必須の取り組みとなっていますが、「換気扇をつけるだけでよいのか」「どの設備を選べば法令を守れるのか」といった疑問を持つ施設管理者は少なくありません。

本記事では、完全分煙の定義や歴史的背景、改正健康増進法に基づく具体的な設備要件、そして導入時のポイントを整理します。あわせて、工事不要で完全分煙を実現する分煙脱臭ブース(IKBJP)などのソリューションについても紹介します。

完全分煙とは|目的と必要な条件

「分煙」という言葉は広く知られていますが、時代とともにその定義や求められるレベルは大きく変化してきました。まずは、現在の「完全分煙」に至るまでの経緯と、法律で定められたルールについて解説します。

完全分煙に至るまでの歴史と背景

今でこそオフィス内は禁煙が当たり前ですが、30年ほど前までは、デスクで仕事をしながらタバコを吸うことが許されている企業も多くありました。しかし、非喫煙者の権利を主張する嫌煙権運動の高まりとともに、「分煙」という概念が生まれました。

当初は、オフィスの隅に灰皿を置く「空間分煙」や、喫煙時間を制限する「時間分煙」といった手法が採用されました。特に時間分煙は、10年ほど前までは多くの飲食店でも導入されていましたが、同じ空間を使っている以上、受動喫煙を完全に防ぐことはできませんでした。

その後、吸う人と吸わない人を部屋単位で分ける「場所分煙」が主流となります。さらに、単に部屋を分けるだけでなく、煙や臭いが外に漏れないようにするための技術的な対策が求められるようになり、健康増進法によって厳格なルールが設定されました。

現在では、屋外を除き、屋内においてはこれらのルールと性能が担保された環境(完全分煙)でなければ、喫煙することはできません。つまり、喫煙室であれ喫煙ブースであれ、法律の基準を満たし、煙を漏らさない対策がなされている状態こそが「完全分煙」と定義されます。

改正健康増進法に基づく「3つのルール」

現在の完全分煙の定義は、2020年に全面施行された改正健康増進法の内容に準拠しています。屋内に喫煙所を設置する場合、以下の3つの技術的基準をすべて満たす必要があります。

  1. 部屋であること(区画)
    たばこの煙が室内から室外に流出しないよう、壁や天井等によって完全に区画されている必要があります。
  2. 屋外に排気されていること(排気)
    たばこの煙が、ダクト等を通じて屋外へ排出されている必要があります。
  3. 入口で0.2m/sの進入風速が確保されていること(気流)
    出入口において、室外から室内に入ってくる空気の流れ(進入風速)が0.2m/s以上である必要があります。

これらを守らなければ違法となり、改善命令に従わない場合は施設管理者に罰金が科せられる可能性もあります。

ルールを守れない場合の回避策と経過措置

上記の3つのルールのうち、特にハードルが高いのが「③進入風速0.2m/s」の確保です。

一般的なオフィスビルの既存換気扇では風量が足りず、ドアを開けた瞬間に煙が漏れてしまうケースが多々あります。かといって、ビルの排気設備自体を増強するには多額の工事費用がかかります。

このような場合、以下の方法で基準をクリアすることが認められています。

  • エアカーテンの活用
    出入口に「2Wayエアカーテン」などを設置し、空気の壁を作ることで気流を補助し、煙の漏れを防ぐ方法です。
  • 暖簾(のれん)の設置
    入口の上部にビニール製の暖簾などを設置して開口面積を狭くすることで、風速を高める方法です(ホースの口を狭めると水流が強くなる原理と同じです)。

さらに、構造上の理由でどうしても屋外排気ができない既存建築物(2020年4月1日以前に存在するもの)については、「経過措置」が適用されます。この場合、以下の条件を満たす脱臭機能付きの設備であれば設置が可能です。

  • 脱臭機能付き喫煙ブースの利用
    厚生労働省が指定する基準(TVOC除去率95%以上など)を満たした「分煙脱臭ブース」であれば、排気を室内に戻す(循環させる)形でも設置することができます。
  • 高性能脱臭機による排気
    既存の換気扇に加え、「高性能プラズマ集塵脱臭装置」などで浄化・脱臭した空気を、喫煙室の外(室内側)に排気することで、強制的に空気の流れを作り、進入風速0.2m/sを確保する方法です。

現在の完全分煙とは、これら「基本の3ルール」を守れている喫煙所、もしくは「経過措置」に対応した設備を用いた喫煙所のことを指します。

完全分煙を実現するための設備

法令基準を満たし、かつ利用者や周辺の人々に不快感を与えない完全分煙を実現するためには、適切な設備の選定が不可欠です。換気扇だけでなく、吸引、フィルタ、脱臭といった機能がなぜ必要なのかを解説します。

高い吸引力と気流制御

タバコの煙は、吐き出された瞬間から拡散を始めます。換気扇の力だけで煙をコントロールしようとすると、部屋全体の空気を大量に入れ替える必要があり、空調効率の悪化を招きます。

完全分煙においては、煙が広がる前に捕集する「吸引力」と、煙を拡散させない「気流制御」が求められます。

例えば、トルネックスの分煙システムでは、独自の気流制御技術を用いて、喫煙者の手元や口元から発生する煙を効率的に吸い込みます。これにより、少ない風量でも効率的に煙を回収し、部屋全体に煙が充満するのを防ぎます。

フィルタと脱臭の重要性

「屋外排気だからフィルタは不要」と考えるのは早計です。排気口の場所によっては、近隣の窓や通気口から臭いが再流入し、トラブルになるケースがあるからです。また、前述の経過措置を利用して屋内に排気する場合は、高度なろ過機能が必須となります。

  • 集塵フィルタ:
    煙に含まれるニコチンやタールなどの粒子状物質を除去します。
  • 脱臭フィルタ:
    ガス状の臭気成分(アンモニア、アセトアルデヒド、酢酸など)を除去します。活性炭や特殊吸着剤を用いたフィルタにより、TVOC(総揮発性有機化合物)を除去し、無臭に近い状態まで浄化します。

換気だけでは不十分な理由

「換気」はあくまで空気を入れ替える行為であり、排気だけでは不十分です。給気を付けて排気とのバランスが整うことで、「換気」が完成します。

  1. 風量不足による漏洩
    排気ダクトが細い、または長い場合、換気扇の能力が十分に発揮されず、入口風速0.2m/sを確保できないことがあります。
  2. ドア開閉時の逆流
    人が出入りする際、ドアの動きによって気流が乱れ(ポンピング現象)、煙が外に押し出されてしまうことがあります。
  3. 残留臭の問題
    換気だけでは、壁や天井に染み付いた臭いまでは除去できません。これが「三次喫煙(サードハンドスモーク)」の原因となり、非喫煙者に不快感を与えます。

これらの問題を解決するために、脱臭機能付きの喫煙ブースや、エアカーテンによる補助、高性能な脱臭装置の併用が必要となるのです。

分煙脱臭ブース(IKBJP)の特徴

トルネックスの製品は、厳しい法令基準をクリアし、多様なオフィス環境に対応できるラインナップが揃っています。ここでは対象となる主要製品の特徴を紹介します。

製品構造と設置性

  • 分煙脱臭ブース(IKBJP):
    4人用、8人用など人数に合わせたサイズ展開があるユニット型のブースです。パネル組立式のため、搬入経路が狭いビルでも設置可能です。経過措置に対応しており、ダクト工事不要で「置くだけ」で完全分煙を実現できます。
  • 1人用分煙脱臭ブース(IKC):
    コンパクトな個室タイプです。わずかなスペースにも設置でき、Web会議ブースのように手軽に導入できます。

吸引・フィルタ・脱臭性能

トルネックスのブースは、単に囲うだけではありません。

  • 高性能フィルタシステム:
    プレフィルタ、電気集塵機(またはHEPAフィルタ)、脱臭フィルタなどを組み合わせ、タバコの煙と臭いを徹底的に除去します。経過措置の基準であるTVOC除去率95%以上をクリアしています。
  • 気流制御技術:
    独自の技術により、喫煙者の周囲から効率的に煙を吸い込みます。これにより、ブース内でも煙が充満しにくく、衣服への臭い移りも軽減されます。
  • 高性能プラズマ集塵脱臭装置
    既存の喫煙室の天井裏などに設置するタイプです。プラズマの力で強力に脱臭し、きれいな空気を室内に戻すことで、不足しがちな排気風量を補います。

メンテナンス性

導入後の手間も重要な選定ポイントです。

トルネックス製品は、人感センサーにより自動運転するため、スイッチの切り忘れがありません。また、フィルタの汚れ具合を検知して清掃時期を知らせる機能や、メーカーによる定期メンテナンスサービスも充実しており、常に高い性能を維持したまま安心して運用できます。

完全分煙を支えるトルネックスの強み

完全分煙は、法律を守るだけでなく、そこで働く人々の環境を守るための投資です。しかし、ビルの構造や換気能力は千差万別であり、画一的な解決策はありません。

トルネックスは、分煙対策の専門メーカーとして、長年にわたり数多くのオフィスや施設で課題解決を行ってきました。

「既存の換気扇では風速が出ない」「ダクト工事ができない」「小スペースで対策したい」といったあらゆる悩みに対し、喫煙ブース(IKBJP/IKCJP)、脱臭装置(VFLJP)、2way エアカーテンボックスといった豊富な製品群を組み合わせ、法令に適合した最適なプランを提案できるのが最大の強みです。

単なる機器販売にとどまらず、風速測定による現状診断から、施工、アフターメンテナンスまでをワンストップでサポートするため、安心して完全分煙をお任せいただけます。

まとめ

完全分煙とは、改正健康増進法の「3つのルール(区画・屋外排気・進入風速0.2m/s)」を満たした状態、もしくは経過措置として認められた「脱臭機能付き設備」を備えた状態を指します。

既存の換気設備だけでこれらを実現するのは難しいケースが多いですが、エアカーテンによる補助や、法令適合した分煙脱臭ブース(IKBJP)の導入、あるいは高性能脱臭装置(VFL)の活用など、建物の条件に合わせた解決策は必ずあります。

曖昧な対策のまま放置せず、確実な設備で完全分煙を実現することは、企業のリスク管理としても非常に重要です。

「自社の喫煙室が基準を満たしているか確認したい」「最適な導入プランを知りたい」という方は、ぜひWEB面談をご利用ください。専門スタッフがお客様の状況に合わせた具体的な解決策をご提案します。

 

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