オフィスや店舗、工場などにおいて、受動喫煙防止対策は避けて通れない課題です。かつてのように「空き部屋を喫煙室にする」だけでは、法令基準を満たせないケースや、工事費用が高額になるといった問題が発生します。
そこで注目されているのが、設置工事の手間を抑え、省スペースで導入できる「分煙ブース」です。近年では、感染症対策や個人のプライバシー重視の観点から、1人用の個室ブースも人気を集めています。
本記事では、分煙ブースの基本的な仕組みやメリット、利用人数や設置場所に合わせた種類の選び方について解説します。あわせて、高性能な脱臭機能を備えたトルネックスの製品ラインナップも紹介します。

分煙ブースとは
分煙ブースとは、喫煙スペースを壁やパネルで囲い、換気・脱臭設備をパッケージ化したユニット製品のことです。建物の内装工事を行って作る「喫煙室」とは異なり、完成された設備として設置するため、導入のハードルが低いのが特徴です。
空気の流れで煙を閉じ込める仕組み
分煙ブースの最大の特徴は、独自の気流制御技術です。
ブースの出入口付近において、外から中へ向かう一定の風速(0.2m/s以上など)を確保することで、空気の壁(エアカーテンのような役割)を作り、タバコの煙がブースの外へ漏れ出すのを防ぎます。これにより、ドアの開閉時や人が出入りする際でも、周囲への煙の拡散を最小限に抑えることができます。
集じんと脱臭のフィルタ方式
吸い込んだ煙は、ブース内部の浄化ユニットを通ります。
ここでは、煙の粒子を捕集する「集塵フィルタ(HEPAフィルタや電気集塵機など)」と、ガス状のニオイ成分を除去する「脱臭フィルタ(活性炭や特殊吸着剤など)」が組み合わされています。この二段階の処理により、タバコ特有の有害物質や悪臭を強力に除去し、クリーンな空気を排出します。
設置場所を選びやすい特徴
排気ダクト工事が不要な「循環型」のブースであれば、コンセント(100V電源)さえあればどこでも設置可能です。
天井や壁に穴を開ける必要がないため、テナントオフィスやレイアウト変更が多い店舗でも柔軟に導入できます。また、分解して移設することも可能なため、資産として長く活用できる点もメリットです。
分煙ブースの種類
利用人数や設置場所の広さに応じて、さまざまなタイプの分煙ブースがあります。

屋内向けの簡易型
オフィスの一角や廊下のデッドスペースなどに設置できるタイプです。
パネルで囲われたシンプルな構造で、圧迫感を与えないガラス張りのデザインなどが主流です。2〜3人用の中型サイズが多く、既存の休憩スペースなどを有効活用して分煙環境を作ることができます。
個室タイプ(1人用ブース)
近年需要が急増しているのが、電話ボックスのような「1人用分煙ブース」です。
畳半畳分ほどのわずかなスペースがあれば設置でき、完全個室のため飛沫感染のリスクも低減できます。「喫煙所での会話を減らしたい」「一人でリラックスしたい」というニーズに応えるだけでなく、狭いオフィスでも導入しやすいのが最大の魅力です。
複数人用のブース
4人〜8人、あるいはそれ以上の人数を収容できる大型のブースです。複数人用のブースを設置する場合、トルネックスの「分煙脱臭ブース」がおすすめです。
高性能なフィルタで煙と臭いを強力に除去し、屋内にきれいな空気を排気します。ダクト工事が不要なため、オフィスのレイアウト変更にも柔軟に対応できます。人感センサーで自動運転するため、スイッチの切り忘れなどの運用トラブルも防げます。
利用者が多い大規模オフィスや工場、商業施設の喫煙所として適しています。人数が増えても十分な換気量を確保できる強力なファンを搭載しており、混雑時でも煙が充満しにくい設計になっています。
分煙ブースを設置するメリット
喫煙室を作る工事と比較して、分煙ブースにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
煙や臭いの拡散を抑えられる
高性能なフィルタと気流制御により、煙や臭いの漏洩を物理的に防ぎます。
「喫煙所の前を通ると臭い」「ドアが開くと煙が出てくる」といった非喫煙者からのクレームを解消し、オフィス全体の空気環境を改善します。
専用室を設けにくい場所でも使える
「喫煙室にするための空き部屋がない」という場合でも、ブースなら執務エリアの隅やロビーの一角に設置できます。大掛かりな間仕切り工事が不要なため、消防法や建築基準法上の手続きも簡略化できるケースが多いです。
配置の自由度が高い
電源さえあれば設置できるため、人の動線やレイアウトに合わせて自由に配置できます。
「来客エリアから見えない場所に置く」「社員のデスクから近い場所に置く」など、運用に合わせた最適なゾーニングが可能です。
設置前に確認したいポイント
導入を成功させるために、事前に確認しておくべきチェックポイントです。
設置スペースと電源
設置予定場所の寸法(幅・奥行・高さ)を正確に測りましょう。特に高さは、天井との間に排気のためのスペースが必要になる場合があります。また、近くにコンセントがあるか、容量は足りているかも確認が必要です。
利用人数と使用頻度
「1日に何人が利用するか」「ピーク時に何人が集中するか」を把握し、それに見合った処理能力を持つブースを選びます。キャパシティを超えた利用は、換気不足やフィルタの早期劣化を招きます。
換気が必要なケース
循環型のブースであっても、二酸化炭素濃度の上昇を防ぐため、設置する部屋自体には一定の換気が必要です。密閉された狭い部屋にブースを置く場合は、部屋の換気扇の能力も確認しておきましょう。
分煙ブースの導入で課題が残る場合の対策
ブースを設置しただけでは解決できない課題や、より高いレベルの対策が求められる場合の対処法です。
臭いが残る場合の脱臭対策
ブースの脱臭性能だけでは不十分な場合や、既存の喫煙室の臭いが取れない場合は、専用の脱臭装置を追加導入するのが効果的です。
吸い殻の処理・清掃
ブース内の灰皿はこまめに清掃し、吸い殻を溜めないようにします。吸い殻から発生する臭いは強烈なため、消臭剤入りの水を使うなどの対策も有効です。
周囲の空気質改善
ブースの外(非喫煙エリア)の空気もきれいに保つため、ブース周辺に空気清浄機を設置したり、出入口にエアカーテンを設けたりすることで、二重の防護策を講じることができます。
分煙環境整備をトルネックスが総合サポート
トルネックスでは、1人用から多人数用までの「分煙脱臭ブース(IKBJP等)」、屋外設置も可能な「屋内外対応喫煙ブース」、そして既存喫煙室の環境を改善する「高性能プラズマ集塵脱臭装置(VFLJP)」など、あらゆるニーズに対応する製品ラインナップを揃えています。
単なる機器販売だけでなく、設置場所の提案から風速測定、助成金申請のサポート、導入後のメンテナンスまでワンストップで対応可能です。
まとめ
分煙ブースは、工事の手間をかけずに法令基準を満たした快適な喫煙環境を作れるソリューションです。
特に1人用ブースは、省スペースで設置でき、プライバシーと感染症対策を両立できるため、現代のオフィス事情に非常にマッチしています。分煙ブースの選定や設置については、WEB面談でも相談できます。お気軽にお問い合わせください。
