分煙が徹底されていない職場環境は、タバコを吸わない従業員にとって深刻な悩みとなります。「服や髪につく臭いが耐えられない」「受動喫煙が不安で体調が優れない」といったストレスは、日々の業務効率を下げるだけでなく、「この職場を辞めたい」と考える決定的な要因にもなり得ます。
一方で、企業側も「分煙の必要性は理解しているが、スペースがない」「コストがかかる工事はできない」といった事情を抱え、対策に踏み切れないケースが少なくありません。特に小規模なオフィスや工場では、場所の確保が最大のハードルとなっています。
本記事では、分煙されていない職場で発生する具体的な課題と、スペースが限られた中小企業でも導入できる現実的な解決策について解説します。工事不要で設置できる「1人用分煙脱臭ブース」など、最新の設備を活用した改善方法も紹介します。

分煙されていない職場で起こりやすい課題
分煙対策が不十分な職場では、煙や臭いがオフィス全体に広がりやすく、従業員に多大なストレスを与えます。ここでは、具体的にどのような問題が発生し、それがどのように従業員の不満につながってしまうのかを整理します。
臭いの付着による不快感
最も日常的かつ切実な悩みが「臭い」の問題です。タバコの煙に含まれる成分は、衣服の繊維や髪の毛に強く付着します。 喫煙スペースと執務スペースが明確に分かれていない、あるいは単なる衝立(ついたて)で仕切られているだけの場合、煙は容易に流れ出します。出社して数時間でスーツや髪からタバコの臭いがするようになると、非喫煙者は一日中不快な気分で過ごさなければなりません。 また、退社後のプライベートな時間や、取引先への訪問時にも臭いが残っていることがあり、これが「職場環境のせいで私生活や業務に悪影響が出る」という強い不満につながります。
受動喫煙による健康面の不安
臭い以上に深刻なのが、健康への影響です。副流煙には、喫煙者本人が吸い込む煙よりも多くの有害物質が含まれています。 分煙されていない職場では、非喫煙者が意図せず有害物質を吸い込んでしまう「受動喫煙」が日常的に発生します。喘息やアレルギー体質の人にとっては、咳が止まらなくなったり、目が痛くなったりと、即座に体調不良を引き起こす原因となります。 「健康を害してまでこの会社で働きたくない」と考えるのは自然なことであり、安全配慮義務の観点からも企業にとって大きなリスクとなります。
職場環境としてのストレス
タバコを巡る問題は、人間関係の悪化も招きます。 「タバコ休憩ばかり行ってズルい」「デスクで吸われると集中できない」といった不満が蓄積すると、喫煙者と非喫煙者の間に見えない壁ができます。 また、非喫煙者が勇気を出して「臭いが辛い」と訴えても、「昔からこうだから」「我慢してほしい」と上司や経営層に取り合ってもらえない場合、従業員は「会社は自分たちの健康や環境を大切にしてくれない」と感じ、愛社精神を急速に失います。これが「辞めたい」という決断の引き金となるのです。
分煙が進まない職場の背景
大手企業では完全分煙が当たり前になる一方で、中小企業や歴史の長い事業所では、依然として分煙が進んでいないケースが見られます。なぜ対策が遅れてしまうのか、その背景にある事情を整理します。

設備が古く換気が追いつかない
古いオフィスビルや工場では、そもそも換気設備が現在の基準に追いついていないことがあります。 窓を開けて換気しようとすると、夏場や冬場は空調効率が下がるため閉め切らざるを得ず、結果として室内に煙が充満します。換気扇を回しても排気能力が足りず、喫煙エリアから煙があふれ出しているケースも多々あります。 建物自体の構造的な問題であるため、テナント側だけでは排気ダクトの増設工事などが難しく、対策が手詰まりになっていることがあります。
スペースやレイアウトの問題
分煙対策が進まない最大の理由は「場所がない」ことです。 法律(改正健康増進法)の基準を満たす喫煙室を作るには、壁で完全に仕切られた一定のスペースが必要です。しかし、ギリギリのスペースでデスクを配置している小規模オフィスや、機材で埋まっている工場では、新たに喫煙室を作る余剰スペースがありません。 「喫煙所を作るために会議室を潰すわけにはいかない」「執務エリアを削ることはできない」という物理的な制約が、分煙化を阻む大きな壁となっています。
運用管理の課題とコストへの誤解
「分煙対策には数百万円の改装工事が必要だ」というイメージを持っている経営者も少なくありません。 壁を作り、専用の排気ダクトを通し、電気工事を行うとなると、確かに多額の費用と工期がかかります。また、喫煙所を設置した後の掃除やメンテナンスを誰がやるのかという運用面での懸念もあります。 こうしたコストや手間への懸念から、「現状維持」という選択が繰り返され、結果として従業員の不満が放置されてしまっています。
職場で実践できる分煙・臭い対策
場所がない、予算が限られているという状況でも、諦める必要はありません。まずは現状の設備やレイアウトの中でできる対策から始め、段階的に環境を改善していくアプローチが有効です。
喫煙スペースの配置見直し
もし、現在灰皿を置いている場所が、人の往来が多い出入口付近や、空調の風が当たる場所にあるなら、まずは配置を見直しましょう。 エアコンの風が喫煙スペースを直撃すると、煙が拡散して執務エリアに流れ込みます。空気の流れ(気流)を確認し、煙が人のいない方向へ流れる場所、あるいは換気扇の直下へ灰皿を移動させるだけでも、拡散を多少抑えることができます。 また、簡易的なパーテーションで囲うだけでも、煙の直接的な拡散を防ぐ心理的・物理的な効果はあります(ただし、これだけでは完全分煙にはなりません)。
換気機能の改善と運用ルール
換気扇がある場合は、その能力を最大限に活かす工夫が必要です。 換気扇のフィルタがホコリやヤニで詰まっていると、排気能力は著しく低下します。定期的な清掃を行うだけで吸い込みが良くなることがあります。 また、運用ルールとして「喫煙は屋外の指定場所のみとする」「就業時間内は禁煙にする」といった規定を設けることも一つの方法です。ただし、屋外喫煙は近隣トラブルのリスクがあり、全面禁煙は喫煙者の離職を招く恐れもあるため、慎重な合意形成が必要です。
局所的な臭い対策機器の導入
換気扇の増強が難しい場合、空気清浄機や脱臭機を導入する方法があります。 家庭用の空気清浄機ではタバコのガス状成分(ニオイ)までは除去しきれないことが多いため、業務用の脱臭機を選ぶことが重要です。煙の発生源近くに設置し、拡散する前に吸い込むことで、室内の空気をある程度浄化できます。
省スペースで解決する「1人用分煙脱臭ブース」の活用
「スペースがない」「工事ができない」という中小企業の職場において、最も現実的かつ効果的な解決策となるのが、トルネックスの「1人用分煙脱臭ブース(IKCJP)」です。 限られたスペースでも設置でき、大掛かりな工事を必要としないため、多くのオフィスで導入が進んでいます。

畳半畳分のスペースがあれば設置可能
このブースの最大の特徴は、そのコンパクトさです。 必要なスペースは畳半畳分程度。オフィスのデッドスペースや、廊下の一角、休憩室の隅など、わずかな隙間に設置することができます。 これまで「場所がないから」と分煙を諦めていた職場でも、デスクを少し移動させるだけで設置場所を確保できるケースがほとんどです。1人用なので、利用者が順番に使う運用になり、長時間の居座り防止や業務効率化にもつながります。
工事不要で導入コストを抑制
従来の喫煙室のような「排気ダクト工事」や「壁の造作工事」は一切不要です。 このブースは、本体内で汚れた空気を浄化して室内に戻す「循環機能」を持っています。コンセント(AC100V)さえあれば、設置したその日から稼働します。 天井や壁に穴を開ける必要がないため、賃貸オフィスでも導入しやすく、将来的な移転の際もそのまま持っていくことができます。工事費がかからない分、トータルの導入コストを大幅に抑えることが可能です。
強力な吸引・脱臭性能で臭いを漏らさない
「室内に空気を戻して臭くないのか?」という疑問を持つ方もいるかもしれませんが、そこには業務用の高度な技術が使われています。 トルネックスのブースは、タバコの煙(粉塵)だけでなく、臭いの元となるガス状成分(TVOC等)を強力に除去する高性能フィルタを搭載しています。 さらに、ブース内で発生した煙を素早く吸い込む気流制御技術により、利用者がドアを開閉しても煙が外に漏れ出しにくい設計になっています。厚生労働省が定める技術的基準(TVOC除去率95%以上など)もクリアしており、ブースのすぐ横にデスクがあっても気にならないレベルの分煙環境を実現します。
高性能プラズマ集塵脱臭装置の特徴
もし、既存の喫煙室があるものの「換気が悪くて臭いが漏れる」という場合は、ブースではなく脱臭装置を追加導入する方法もあります。トルネックスの「高性能プラズマ集塵脱臭装置(VFLJP)」は、タバコ臭対策に特化した強力な設備です。

煙・臭い・粒子を一体処理
プラズマの力で、タバコの煙に含まれる微細な粒子や、強烈な臭い成分を分解・吸着します。一般的なフィルタ方式に比べて目詰まりしにくく、強力な集塵・脱臭性能を長期間維持できます。 既存の喫煙室内に設置し、浄化した空気を循環させることで、不足している換気風量を補い、室内の空気をクリーンに保ちます。
高機能フィルタの長寿命
業務用として設計されているため、メンテナンス性にも優れています。 タバコのヤニによる性能低下を抑える独自の構造により、フィルタの交換頻度や清掃の手間を軽減します。ランニングコストを抑えながら、常に高い脱臭効果を発揮し続けることができます。
既存空間にも設置しやすい
天井裏に設置するタイプや、天井吊り下げタイプなどがあり、既存の喫煙室のスペースを圧迫せずに導入できます。 「換気扇はあるが効きが悪い」「排気ダクトの工事ができない」といった現場でも、この装置を追加することで、法令基準(入口風速0.2m/s以上)を満たす適正な喫煙室へと改善することが可能です。
職場環境改善を支えるトルネックスのサポート
分煙対策は、単に機器を置けば終わりではありません。職場のレイアウトや人数、空気の流れなどを総合的に判断し、最適な配置を行う必要があります。 トルネックスでは、分煙コンサルタントがお客様の職場環境を確認し、最も効果的でコストを抑えられるプランを提案します。
「今のオフィスに置ける場所があるか見てほしい」「助成金が使えるか知りたい」といった相談から、導入後の定期メンテナンス(フィルタ交換や点検)まで、ワンストップでサポートします。特にメンテナンスは、脱臭性能を維持し、長く快適に使い続けるために不可欠な要素です。専門スタッフによる定期ケアがあることで、総務担当者の負担を増やすことなく運用できます。
まとめ
分煙されていない職場は、非喫煙者の従業員にとって大きなストレス源であり、離職リスクや企業イメージの低下を招く要因となります。 「スペースがない」「コストがかけられない」という中小企業特有の悩みに対しても、現在は工事不要で省スペースな「1人用分煙脱臭ブース」という解決策があります。
大掛かりなリフォームをしなくても、コンセント一つで法令基準を満たすクリーンな分煙環境は作れます。従業員全員が快適に働ける職場環境を守るために、まずはできることから検討を始めてみてはいかがでしょうか。
設備の選定や運用改善についてはWEB面談でも相談可能です。オフィスの図面や現状をお伺いしながら、最適な解決策をご案内します。
