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工場の喫煙所設置ガイド|基準と適した喫煙ブースを解説

製造業の現場において、受動喫煙防止対策は従業員の健康管理だけでなく、工場の安全管理や近隣環境への配慮という観点からも非常に重要な課題です。2020年の改正健康増進法の施行以降、多くの工場で喫煙所の見直しが進められてきました。

本記事では、工場の施設管理担当者や安全衛生管理者の方に向けて、工場における喫煙所設置の法的基準、屋外・屋内それぞれの設置ポイント、そしてトラブルを防ぐための具体的な設備対策について解説します。屋内外に対応した喫煙ブースの活用法もあわせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

工場に求められる喫煙所の法律と基準

工場に喫煙所を設置する際、まず遵守しなければならないのが「改正健康増進法」です。この法律は望まない受動喫煙をなくすことを目的としており、施設の管理者には適切な措置を講じる義務があります。

受動喫煙防止法の基本

健康増進法では、施設の種類によって喫煙ルールの厳格さが異なります。学校、病院、児童福祉施設などは「第一種施設」として敷地内禁煙が義務付けられています。

一方、工場はオフィスや飲食店などと同じく「第二種施設」に分類されます。第二種施設の基本的なルールは「原則屋内禁煙」です。かつてのように、作業場の隅に灰皿を置いただけの喫煙スペースや、更衣室での喫煙は法律で禁止されています。屋内で喫煙を認める場合は、法律で定められた技術的基準を満たす「喫煙専用室」を設置しなければなりません。

違反した場合には、施設の管理権原者に対して指導や命令が行われ、従わない場合は罰則(過料)が科せられる可能性もあります。コンプライアンス遵守の観点からも、基準に適合した喫煙環境の整備は必須です。

工場における喫煙所の原則

工場における喫煙環境の整備には、大きく分けて二つの方向性があります。

  1. 屋内喫煙専用室の設置
    屋内に喫煙所を作る場合は、後述する厳しい技術的基準(区画、排気、気流)をクリアする必要があります。喫煙専用室内では、飲食や作業などの「喫煙以外の行為」は原則として禁止されています。
  2. 屋外喫煙所の設置
    建物の外、屋上や敷地内の屋外スペースに喫煙所を設ける方法です。工場は敷地が広いことが多いため、屋外に設置するケースが一般的です。屋内のような厳密な数値基準はありませんが、配慮義務が課されています。

どちらを選択する場合でも、非喫煙者が受動喫煙にさらされないよう、動線や煙の行方をコントロールすることが大原則となります。

工場で設置できる喫煙所の種類

工場の喫煙所には、屋外型と屋内型があり、それぞれにメリットと注意点があります。特に屋外喫煙所については、法的な規制が緩やかである反面、近隣トラブルの原因になりやすいため、慎重な対策が求められます。

屋外喫煙所

工場の敷地内にスペースがある場合、屋外喫煙所は比較的低コストで導入できる選択肢です。現状の法律では、屋外の喫煙所について屋内のような「風速0.2m/s以上」といった明確な数値ルールはありません。極端な例を挙げれば、赤いカラーコーンを4本置いて「ここは喫煙エリアです」と区切るだけでも、法律上の屋外喫煙所として成立してしまいます。

しかし、ここに大きな落とし穴があります。単に場所を区切っただけの開放的な喫煙所では、以下の問題が発生しやすくなります。

  • ニオイと煙の拡散によるクレーム
    風向きによっては、煙が工場の敷地外へ流れ出します。外部の歩行者や近隣住民から「タバコの臭いが流れてくる」といったクレームが工場に入るリスクが高まります。特に住宅地が近い工場では深刻な問題となり得ます。
  • 視覚的な問題
    実際に臭いが届いていなくても、喫煙者が数名集まってタバコを吸っている姿が見えるだけで、近隣住民や通行人に不快感を与えることがあります。「あそこの工場はマナーが悪い」「煙たそうだ」というイメージを持たれることは、企業の地域的信用に関わります。

【屋外喫煙所で推奨される対策】

こうしたトラブルを防ぐためには、法令上の義務はなくとも、自主的な環境対策が必要です。

  1. 視覚的な遮断(衝立・パーテーション)
    衝立やパネルで喫煙所を囲い、外部から喫煙者が見えないようにすることで、視覚的なクレームリスクを軽減します。
  2. 煙の流出制御(屋外エアカーテン)
    費用を抑える対策として、衝立と屋外エアカーテンの導入が有効です。煙を行かせたくない方向に向けて空気の壁を作り、煙の拡散を物理的にブロックします。
  3. 高度な脱臭対策(屋外用喫煙室+脱臭機)
    予算がある場合は、屋根と壁のある屋外用喫煙室(プレハブ・コンテナ型)を設置し、高性能な脱臭機で煙を浄化してから排気する方法が最も確実で、周辺環境への影響を最小限に抑えられます。

屋内喫煙専用室

作業効率や天候への対応を考え、工場建屋内に喫煙所を設ける場合は、改正健康増進法の技術的基準を遵守する必要があります。

  • 出入口の風速確保
    喫煙室の入口において、室外から室内へ流入する空気の気流が0.2m/s以上必要です。
  • 壁・天井による区画
    煙が漏れないよう、床から天井まで隙間なく仕切られている必要があります。
  • 屋外排気
    原則として、タバコの煙はダクトを通じて屋外へ排気しなければなりません。

工場の場合、天井が高かったり、既存の換気設備が複雑だったりするため、0.2m/sの風速を確保するための設計が難しくなることがあります。また、排気ダクトを長く引き回す必要がある場合、工事費用が高額になる傾向があります。

工場向け喫煙ブース

屋内の空きスペースや、屋外の軒下などに手軽に設置できるのが「喫煙ブース」です。

ユニット型の製品であれば、大規模な建築工事が不要で、基準を満たす換気設備や脱臭機能がパッケージ化されています。

特に、工場のレイアウト変更やラインの増設などで喫煙所を移動させる可能性がある場合、移設が容易な喫煙ブースは非常に便利です。また、屋外排気が難しい場所(ダクト工事ができない場所)でも、基準を満たした「脱臭機能付きブース」であれば、屋内で空気を循環させて設置することが可能です(経過措置対応)。

工場ならではの喫煙所の注意点

工場はオフィスとは異なり、危険物を取り扱っていたり、製品の品質管理が厳格だったりと、特有の事情があります。喫煙所の設置においても、安全性や生産性への影響を考慮しなければなりません。

火気管理と安全性

工場において最も警戒すべきは火災です。溶剤や可燃性ガス、段ボールなどの梱包資材を扱うエリアでは、厳格な火気管理が求められます。

喫煙所を設置する際は、指定された火気使用可能エリア内であるかを確認し、可燃物から十分な距離を確保する必要があります。また、吸い殻の不始末によるボヤを防ぐため、自動消火機能付きの灰皿を選定したり、喫煙所内に消火器を常備したりするなどの対策が不可欠です。

粉塵や臭いの拡散

食品工場や精密機械工場などでは、タバコの煙や臭い、あるいは「三次喫煙(サードハンドスモーク)」による残留物質が製品に悪影響を与えるリスクがあります。

喫煙所から戻ってきた従業員の服に付着した微粒子や臭いが、クリーンルームや製造ラインに持ち込まれることは避けなければなりません。

動線管理と混雑対策

工場の敷地は広いため、喫煙所が遠すぎると往復の移動時間が長くなり、業務効率が低下します。一方で、近すぎると受動喫煙のリスクが高まります。

また、始業前や昼休み、休憩時間には多くの従業員が一斉に喫煙所を利用するため、混雑が発生しやすくなります。キャパシティを超えた利用は、ドアの開放状態を招き、煙が外に漏れる原因となります。

各エリアに従業員数に応じた適正なサイズの喫煙所を分散配置するなど、動線と混雑を考慮した計画が必要です。

喫煙所の設置を効率化する方法

工場に適した喫煙所を効率よく導入するためには、いくつかの比較軸を持って検討することが大切です。

必要性能の見極め

まずは、設置予定場所の条件と利用人数を整理しましょう。

 検討項目 確認ポイント
設置場所屋内か屋外か。屋外なら近隣住宅との距離は十分か。               
利用人数ピーク時に何人が同時に利用するか。
排気方法屋外へダクトが出せるか。出せない場合は脱臭機が必要か。
電源100Vまたは200Vの電源が確保できるか。

これらの条件によって、必要な換気能力やブースのサイズが決まります。特に屋外設置で近隣への配慮が必要な場合は、単なる囲いではなく、脱臭機能のついた設備への投資が、将来的なクレーム対応コストを考えると安上がりになるケースが多くあります。

工事の有無による違い

喫煙所を作るには、「建築工事で部屋を作る」方法と、「ユニット型の喫煙ブースを置く」方法があります。

  • 建築工事(パーテーション工事等)
    自由なサイズ・形状で作れる反面、設計・施工に時間がかかります。屋外に屋根付きの小屋を作る場合、建築確認申請が必要になり、手続きが煩雑になることもあります。
  • 喫煙ブース(ユニット型)
    工場で製造された部材を現地で組み立てるだけなので、工期が短く(1日〜数日)、設置後すぐに使用できます。法令基準を満たす性能があらかじめ設計されているため、換気計算などの手間も省けます。工場の稼働を止めたくない場合や、手早く対策したい場合に適しています。

維持管理のしやすさ

設置後のメンテナンスも重要な要素です。

工場では粉塵や油煙などが空気中に含まれていることがあり、換気扇や空気清浄機のフィルタが詰まりやすい傾向にあります。フィルタ交換が複雑だったり、清掃がしにくかったりすると、管理がおろそかになり、排気能力の低下(=法令違反の状態)を招きます。

メンテナンス契約が用意されているメーカーや、耐久性の高い工場向けの仕様になっている製品を選ぶことで、総務・施設管理担当者の負担を減らすことができます。

工場の分煙環境整備を支えるトルネックス

工場の喫煙所設置には、法令遵守、近隣配慮、そして現場の安全性確保という複合的な視点が必要です。トルネックスでは、工場の多様なニーズに応える分煙ソリューションを提供しています。

屋内外対応の喫煙ブースと関連設備

  • 屋内外対応 喫煙ブース
    耐久性に優れ、工場の屋外設置にも適したユニット型ブースです。断熱性や空調設備の取り付けも考慮されており、快適な喫煙環境を提供します。脱臭機能を付加することで、近隣への臭い漏れ対策も万全に行えます。
  • 高性能プラズマ集塵脱臭装置
    屋内に喫煙所を作りたいが、ダクト工事が難しい(屋外排気ができない)場合に、この装置を組み合わせることで基準をクリアできる場合があります。強力な脱臭力で、室内に排気しても臭いを大幅に低減します。
  • 屋外エアカーテン
    予算を抑えて屋外喫煙所を設置する場合、衝立と組み合わせて使用します。強力な空気の壁を作り、煙や臭いが近隣住宅や歩行者の方向へ流れるのを防ぎます。

トルネックスでは、無料の風速測定や、設置場所のコンサルティングも行っています。「屋外に置きたいが近隣が心配」「屋内の空きスペースを活用したい」など、工場の状況に合わせた最適なプランを提案します。

屋内外対応喫煙ブース+ 高性能プラズマ集塵脱臭装置の導入事例

千葉県の空港では、国際交流を支える国際拠点空港として、トルネックスの屋内外対応喫煙ブース+ 高性能プラズマ集塵脱臭装置を導入いたしました。

■千葉県/空港

■屋内外対応喫煙ブース+ 高性能プラズマ集塵脱臭装置

まとめ

工場における喫煙所設置は、単に場所を確保すれば良いというものではありません。

屋内であれば改正健康増進法の技術的基準を、屋外であれば周辺環境への十分な配慮とリスク管理が求められます。特に屋外喫煙所は、法的な規制が緩やかであるがゆえに、安易な設置(コーンで囲うだけ等)が近隣クレームや企業イメージの低下を招く原因となりがちです。

衝立による目隠しやエアカーテンによる気流制御、あるいは高性能な脱臭機能付きブースの導入など、工場の立地や予算に応じた適切な対策を講じることが、結果としてトラブルのない安定した操業につながります。

「自社の工場に最適な喫煙所はどのようなタイプか」「近隣対策を含めて相談したい」という担当者様は、ぜひWEB面談をご利用ください。専門スタッフが具体的な事例を交えて解決策をご案内します。

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