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オフィス分煙の基本|喫煙室・ブースの違いと選び方を解説

「オフィスの分煙対策を進めたいが、何から手をつければよいかわからない」
「喫煙室を作りたいが、大掛かりな工事はできない」
「従業員からタバコの臭いに関する苦情が出て困っている」

企業における受動喫煙防止対策が義務化され、オフィス環境の整備は経営課題の一つとなっています。しかし、限られたスペースや予算の中で、法令を遵守しながら喫煙者と非喫煙者の双方が納得する環境を作ることは容易ではありません。

本記事では、オフィス分煙の基本的な考え方から、喫煙室と喫煙ブースの違い、そして自社に合った設備の選び方について解説します。特に、工事が難しいオフィスでも導入可能な「分煙脱臭ブース」という選択肢についても詳しく紹介します。

オフィス分煙に必要な基礎知識

まずは、なぜ今オフィスでの分煙がこれほどまでに重要視されているのか、その背景と法律のルール、そして「完全分煙」という概念について正しく理解する必要があります。

オフィスに適用される法律と「完全分煙」の定義

2020年4月に全面施行された改正健康増進法により、オフィスを含む多くの施設は「原則屋内禁煙」となりました。屋内で喫煙を認める場合は、法令で定められた技術的基準を満たす「喫煙専用室」を設置しなければなりません。

ここで重要となるのが「完全分煙」という考え方です。

完全分煙とは、喫煙エリアと非喫煙エリアを物理的に明確に分け、煙や臭いが非喫煙エリアに一切漏れない状態にすることを指します。現在では当たり前の概念ですが、ここに至るまでには長い歴史的経緯がありました。

【分煙の歴史と変遷】

  • 30年前(自席喫煙の時代):
    かつてはデスクで仕事をしながらタバコを吸うことが許されているオフィスも珍しくありませんでした。
  • 空間分煙・時間分煙の登場:
    嫌煙権運動の高まりを受け、「分煙」という言葉が生まれました。当初はオフィスの隅に灰皿を置く「空間分煙」や、喫煙時間を制限する「時間分煙」が採用されました。しかし、空間がつながっている以上、煙の拡散は防げず、受動喫煙はなくなりませんでした。
  • 場所分煙(喫煙室)の普及:
    壁で仕切られた部屋を作る「場所分煙」が主流となりました。
  • 完全分煙(現在):
    単に部屋を分けるだけでなく、「煙やニオイを漏らさない」ための数値基準(境界風速0.2m/s以上など)が法律で定められました。

現在求められているのは、単なる場所分けではなく、性能が担保された「完全分煙」です。屋外喫煙所を除き、屋内においては、この完全分煙の基準を満たした喫煙室や喫煙ブースでなければ、喫煙環境として認められません。

喫煙室の位置づけと設置条件

オフィス内に喫煙室を設置する場合、以下の3つの技術的基準をクリアする必要があります。

  1. 区画(壁・天井による分離):
    たばこの煙が室内から室外に流出しないよう、壁、天井等によって完全に区画されていること。
  2. 排気(屋外排気):
    たばこの煙が、ダクト等を通じて屋外に排気されていること。
  3. 気流(入口風速の確保):
    出入口において、室外から室内に流入する空気の気流(進入風速)が0.2m/s以上であること。

これらを満たすことで初めて、法令に適合した「喫煙専用室」として運用が可能になります。

分煙が求められる理由と社会情勢

法律を守ることはもちろんですが、企業が分煙に取り組むべき理由は他にもあります。それは「タバコに対する社会的な意識の変化」です。

現代において、タバコを吸わない人の割合は増え続けており、タバコの煙や臭いに対する嫌悪感は以前よりもはるかに強くなっています。「少しぐらい臭くても我慢する」という時代は終わりました。

オフィスの執務エリアにタバコの臭いが漂ってくることは、非喫煙者の従業員にとって大きなストレスとなり、モチベーションの低下や離職の原因にもなりかねません。また、採用活動においても、快適なオフィス環境は重要なアピールポイントとなります。

企業イメージを守り、従業員の健康と満足度を向上させるためにも、レベルの高い分煙対策が求められています。

オフィス分煙の方法と比較

オフィスで分煙を実現するには、いくつかの方法があります。建物の構造や予算に合わせて最適な方法を選ぶために、それぞれの特徴を比較整理します。

屋内喫煙室(建築工事)

既存の会議室や倉庫などの空き部屋を改装し、喫煙室とする方法です。

  • 特徴:
    壁や天井の隙間を埋める密閉工事、専用の排気ダクトを通す換気工事、電気工事などが必要です。
  • メリット:
    広いスペースを確保しやすく、大人数が同時に利用できます。
  • デメリット:
    設計・施工に時間がかかり、工事費用が高額になります。また、テナントビルの場合、壁に穴を開けるなどの工事が許可されないケースや、退去時の原状回復費用が莫大になるリスクがあります。

屋外喫煙所

ビルの屋上や敷地内の屋外スペースに喫煙所を設ける方法です。

  • 特徴:
    屋内のような厳密な数値基準はありませんが、近隣や通行人への配慮義務があります。
  • メリット:
    屋内のスペースを消費せず、比較的低コストで設置できます。
  • デメリット:
    天候や季節に左右され、利用者の利便性が下がります。また、煙が風に乗って近隣の窓や給気口から入り込み、クレームにつながるケースが増えています。移動時間が長くなり、業務効率が下がる懸念もあります。

分煙脱臭ブース

工事不要、もしくは簡易な工事で設置できるユニット型の「喫煙ブース」です。

  • 特徴:
    喫煙室としての機能をパッケージ化した製品です。屋内の空きスペースに設置し、電源につなぐだけで稼働するタイプ(循環型)と、排気ダクトにつなぐタイプがあります。
  • メリット:
    大規模な建築工事が不要で、導入までの期間が短く済みます。特に「循環型」は、屋外排気が難しいビルでも設置可能で、レイアウト変更時の移設も容易です。
  • デメリット:
    設置スペースに合わせたサイズ選びが必要です。
比較項目屋内喫煙室(内装工事)屋外喫煙所喫煙ブース(循環型)
導入コスト高額(数百万円〜)中~高(製品による)
工期長い(設計・施工)1日~長期
※基礎工事などがあると長期に
最短1日
排気設備ダクト工事必須不要不要(コンセントのみ)
※経過措置が適応なら不要、2020年4月以降の建物なら必須
法令対応設計次第
※改正健康増進法適応必須
配慮義務のみ適合済み製品あり
※改正健康増進法適応必須
移設困難容易
※設置した喫煙所による
容易(分解・組立可)

飲食店の喫煙ルール「経過措置」とブース設置要件

改正健康増進法では原則屋内禁煙が義務付けられていますが、事業継続への配慮から、既存の小規模飲食店には例外的に喫煙を認める猶予措置が設けられています 。この特例的な扱いを「経過措置」と呼び、以下の要件を満たす店舗は屋内での喫煙営業が可能となります 。

1. 経過措置の対象店舗(既存特定飲食提供施設) 2020年4月1日時点で既に営業しており、資本金5,000万円以下、かつ客席面積100㎡以下 の中小店舗が対象です。これらは特例として、店内での喫煙(飲食併用可)が認められます 。

2. 建物時期による「排気ルール」の違い 喫煙ブースを導入する際、建物の状況により設置可能な設備が異なります。

  • 2020年4月時点で存在する建物
    「分煙脱臭ブース(屋内排気型)」を室内に組み立て設置するだけで、喫煙所として認められます。
  • 2020年4月以降の新築建物
    室内への排気は認められず、ダクト工事等による「屋外排気」が必須となります。

3. 必須義務 喫煙可能とする場合、客・従業員を問わず20歳未満の立入禁止 と、標識の掲示 が義務付けられています 。

オフィス分煙の課題と対策

分煙対策を行ったはずなのに、「廊下がタバコ臭い」という苦情がなくならないケースがあります。オフィス特有の課題とその対策について解説します。

臭い漏れの原因

喫煙室を作っても臭いが漏れる主な原因は以下の通りです。

  1. 気流の乱れ(ポンピング現象):
    開き戸(ドア)を開閉する際、空気が押し出されたり引っ張られたりして、煙が漏れ出します。
  2. 排気風量不足:
    換気扇の能力が足りず、基準となる「風速0.2m/s」が確保できていない、またはフィルター詰まりで能力が低下しているケースです。
  3. 三次喫煙(サードハンドスモーク):
    喫煙室でタバコを吸った人の衣服や髪の毛、呼気に付着した有害物質や臭いが、執務エリアに戻った後に放出される現象です。

換気・脱臭機能の重要性

単に空気を入れ替える「換気」だけでは、臭いの成分までは除去できません。特に、排気ダクトが設置できないオフィスで循環型の空気清浄機を使う場合は、高性能な「脱臭機能」が必須となります。

タバコの煙は、粒子状物質(粉塵)とガス状物質(ニオイ)で構成されています。

一般的な空気清浄機は粉塵を取ることはできても、ガス状のニオイ成分を取り切れないことが多いのです。オフィスで快適な環境を維持するためには、TVOC(総揮発性有機化合物)や、アンモニア・酢酸・アセトアルデヒドといったタバコ特有の悪臭成分を強力に除去できる専用の脱臭機やフィルタシステムが必要です。

スペース不足への対応

「喫煙室を作る余っている部屋がない」というのもよくある悩みです。

その場合、廊下のデッドスペースや、リフレッシュエリアの一角に設置できる「小型の喫煙ブース」が有効です。1人用〜4人用など、少人数向けのコンパクトな製品を選ぶことで、執務スペースを圧迫せずに分煙環境を整えることができます。

分煙設備導入のポイント

失敗しない分煙設備の選び方として、以下の3つの視点を持つことが重要です。

工事の有無と設置スピード

オフィスの稼働を止めずに導入できるかは重要なポイントです。

壁を立てたり天井を加工したりする建築工事は、騒音や粉塵が発生するため、休日や夜間に工事を行う必要があり、コストも割高になりがちです。

一方、工場で製造されたパーツを組み立てるだけの「喫煙ブース」であれば、平日の数時間で設置が完了することもあります。また、将来的なオフィス移転やレイアウト変更の際にも、分解して持ち運べるブースの方が資産として無駄になりません。

維持管理とコスト

導入費(イニシャルコスト)だけでなく、維持費(ランニングコスト)も見逃せません。

特に循環型の設備では、フィルタの交換費用が発生します。フィルタの寿命が長く、交換作業が簡単なものを選びましょう。

また、人感センサーで「人がいる時だけ運転する」機能がついている製品であれば、無駄な電気代を抑えることができます。常時換気扇を回し続ける喫煙室に比べ、空調された室内の空気を無駄に捨てないため、空調コストの削減にもつながります。

導線設計と設置場所

喫煙所をオフィスのどこに配置するかも重要です。

  • 非喫煙エリアからの隔離:
    執務スペースのすぐ隣や、来客が通るメインエントランス付近は避けるべきです。
  • 喫煙者の移動時間:
    あまりに遠い場所に設置すると、移動時間が長くなり業務効率が低下します。
  • 出入口の向き:
    人の往来が少ない方向に出入口を向けることで、ドア開閉時の臭い漏れの影響を最小限にできます。

オフィス分煙を支えるトルネックスの提案

株式会社トルネックスは、分煙対策のパイオニアとして、オフィスの課題解決に特化した製品を提供しています。その代表的な製品が「分煙脱臭ブース(IKBJP)」です。

分煙脱臭ブース(IKBJP)の特徴

トルネックスの分煙脱臭ブース(IKBJP)は、改正健康増進法の技術的基準をクリアし、ダクト工事不要で設置できる高性能な喫煙ブースです。

  1. 強力な脱臭・集塵性能:
    特殊な吸着剤を使用したフィルタにより、タバコ臭の主成分やTVOCを強力に除去します。厚生労働省が定める「脱煙機能付き喫煙ブース」の基準(TVOC除去率95%以上など)を満たしているため、屋内に排気しても臭いが気になりません。
  2. 工事不要・簡単設置:
    100Vのコンセントがあればどこでも設置可能です。大掛かりな設備工事が不要なため、テナントオフィスでも導入のハードルが低く、すぐに「完全分煙」を実現できます。
  3. 省エネ・人感センサー:
    人の入室を検知して自動で運転を開始・停止します。無駄な電力消費を抑え、フィルタの寿命も長持ちさせます。
  4. サイズバリエーション:
    4人用、8人用など、利用人数や設置スペースに合わせたサイズ展開があります。

また、トルネックスでは導入前の風速測定や、助成金申請のサポート、導入後の定期メンテナンス(フィルタ交換・清掃)まで、ワンストップで支援しています。

分煙脱臭ブース(IKBJP)の導入事例

東京都の公衆喫煙所では、喫煙者のマナー向上と健康増進法改正に伴う受動喫煙防止を目的に、分煙脱臭ブース(IKBJP)の導入いたしました。

■東京都/公衆喫煙所
■ご導入機種:喫煙ブース(屋内排気接続型)、高性能プラズマ集塵脱臭装置 各1台

まとめ

オフィスにおける分煙は、法律で定められた義務であると同時に、従業員が快適に働くための必須条件です。

かつてのような「空間分煙」では不十分であり、現在は煙と臭いを完全に遮断する「完全分煙」が求められています。

これから分煙対策を行うのであれば、大掛かりな工事が必要な「喫煙室」を作る方法だけでなく、設置が簡単で性能が保証されている「喫煙ブース」の導入が、コストパフォーマンスと柔軟性の面でおすすめです。

「自社のオフィスに設置できるか確認したい」「具体的な費用を知りたい」という方は、ぜひWEB面談をご利用ください。専門スタッフがお客様のオフィスの図面や状況に合わせて、最適な分煙プランをご提案します。

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