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喫煙所を建築する際の基準|屋内外の違いと喫煙ブースの選択肢

オフィスビル、商業施設、工場などにおいて、喫煙所を新たに設置・改修するニーズが高まっています。しかし、喫煙所の設置は単なる「スペースの確保」ではありません。健康増進法による受動喫煙防止対策や、建築基準法に基づく構造基準など、複数の法規制が絡み合う複雑なプロジェクトです。

特に屋外にしっかりとした喫煙所を作る場合、それは法律上「建築物」として扱われる可能性があり、確認申請などの手続きが必要になることもあります。

本記事では、喫煙所を建築・設置する際に知っておくべき法的基準、屋内と屋外それぞれの設計ポイント、そして大規模な建築工事を回避する選択肢としての「喫煙ブース」について解説します。

喫煙所に適用される主な法律

喫煙所の計画を進める前に、まずは関係する法律の全体像を把握する必要があります。主に「改正健康増進法」と「建築基準法」の2つが大きな柱となります。

健康増進法(受動喫煙防止)

2020年に全面施行された改正健康増進法は、望まない受動喫煙をなくすことを目的としています。

屋内に喫煙所を設置する場合、以下の3つの技術的基準を満たすことが義務付けられています。

  1. 区画:
    壁や天井で喫煙室と非喫煙エリアを完全に仕切ること。
  2. 排気:
    たばこの煙を屋外へ排気すること(または基準を満たす脱臭装置で浄化すること)。
  3. 気流:
    喫煙室の入口において、室外から室内へ向かう気流(進入風速)が0.2m/s以上であること。

これらは建築工事の仕様を決定づける重要な要素です。例えば、壁の素材選びや換気扇の能力計算などは、この基準を満たすように設計しなければなりません。

一方、屋外喫煙所については、屋内のような数値基準はありませんが、「周囲の状況への配慮」が義務付けられています。

建築基準法との関係

屋外に喫煙所を作る際、最も注意が必要なのが建築基準法です。

土地に定着し、屋根と柱(または壁)がある工作物は「建築物」とみなされます。例えば、コンテナハウスやプレハブを用いた喫煙所は建築物に該当します。

【建築物扱いとなる場合の注意点】

  • 確認申請:
    防火地域・準防火地域内での設置、または床面積が10㎡を超える増築の場合、役所への「建築確認申請」が必要です。
  • 構造基準:
    基礎の強度や防火性能など、一般の建物と同様の安全基準が求められます。
  • 手続き:
    建築士による設計と申請書類の作成が必要となり、申請者名は「建築主(施主)」となります。

「たかが喫煙所」と安易に考えて設置すると、違法建築として撤去を命じられるリスクがあるため、計画段階での法チェックが不可欠です。

条例・施設独自ルール

国が定める法律に加え、自治体独自の「受動喫煙防止条例」も確認が必要です。東京都など一部の自治体では、国よりも厳しい基準を設けている場合があります。

また、路上喫煙禁止条例により、屋外であっても道路に面した場所への設置が制限されるケースもあります。

屋内喫煙室を建築する際のポイント

建物の中に喫煙室を作る(内装工事を行う)場合の具体的な設計ポイントを解説します。

区画と密閉性

屋内の喫煙室は、煙が漏れないよう「密閉」が基本です。

パーティションで仕切る場合、床から天井まで隙間なく塞ぐ必要があります。上部が開いている「欄間オープン」の形式は認められません。また、出入口のドアは、開閉時の気流の乱れを抑えるためにスライドドア(引き戸)が推奨されます。ガラリ(通気口)を設ける場合は、その面積と換気風量のバランス計算が重要になります。

換気と排気の基準

法令基準である「入口風速0.2m/s以上」を確保するためには、強力な排気設備が必要です。

既存の空調設備とは別に、喫煙室専用の排気ダクトを設置し、屋外へ直接排気するルートを確保しなければなりません。換気扇の選定にあたっては、部屋の容積だけでなく、ドアの開口面積やダクトの長さ(圧力損失)を考慮した精密な計算が求められます。

建築工事の範囲

屋内喫煙室を作るには、以下のような多岐にわたる工事が発生します。

  • 造作工事:
    壁(LGS下地+ボード+クロス)、床、天井の設置。
  • 建具工事:
    ドアや窓の設置。
  • 電気工事:
    照明、換気扇用電源、コンセントの設置。
  • 空調換気工事:
    専用換気扇、ダクト配管、給気口の設置。
  • 防災設備工事:
    スプリンクラーや火災報知器の増設・移設。

特にテナントビルの場合、防災設備の工事やB工事(ビル指定業者の工事)が必要となり、コストが高額になる傾向があります。

屋外喫煙所を設置する際のポイント

工場の敷地やオフィスの屋上など、屋外に喫煙所を設置する場合のポイントです。近隣トラブルを防ぐため、近年ではしっかりとした「箱型」の喫煙所を建築するケースが増えています。

建築物扱いになる条件と手続き

前述の通り、屋根と壁があるしっかりとした喫煙所(コンテナハウスやユニットハウス)は建築物です。

設置にあたっては、基礎工事(コンクリート打設など)を行い、建築基準法に基づいた構造強度を確保する必要があります。

特に「防火地域・準防火地域」に設置する場合は、不燃材料の使用が義務付けられるなど、仕様の制限が厳しくなります。これらをクリアするためには、設計事務所や建築士の協力が不可欠です。

周囲への煙の流出対策

屋外喫煙所には明確な数値基準はありませんが、煙や臭いの苦情が出ないよう配慮しなければなりません。

これまではフェンスで囲っただけの開放的な喫煙所も多く見られましたが、煙が流れてクレームになり、密閉型のコンテナ喫煙所へ改修する事例が増えています。

密閉型にする場合、室内の煙を排出するための換気設備が必要ですが、排気口の向きや位置を誤ると、近隣の窓や通気口に煙が入ってしまいます。必要に応じて、排気口に脱臭機を取り付けるなどの対策が有効です。

屋外環境下での安全性

屋外設置では、台風や地震への対策も重要です。

転倒防止のためにアンカーボルトで基礎に固定することや、耐久性の高い部材(重量鉄骨やガルバリウム鋼板など)を使用することが求められます。また、夏場の猛暑対策としてエアコンを設置する場合は、室外機の置き場所や電源工事も考慮する必要があります。

喫煙所を検討しているならトルネックス

トルネックスでは、屋内外それぞれに対応した高性能な喫煙ブースを提供しています。

  • 屋内外対応 喫煙ブース
    屋外設置に特化したユニット型のブースです。建築基準法に対応した設計が可能で、エアコンや脱臭機の取り付けも容易です。
  • 分煙脱臭ブース(IKBJP / IKCJP
    屋内設置用の循環型ブースです。厚生労働省の技術的基準(TVOC除去率95%以上など)をクリアしており、ダクト工事不要で設置できます。

建築工事が不要な理由(屋内の場合)

屋内に「分煙脱臭ブース(IKBJP / IKCJP)」を設置する場合、それは「家具」や「什器」として扱われるため、建築工事が不要です。

ブース内で空気を浄化して循環させるため、屋外への排気ダクト工事も必要ありません。コンセントさえあれば稼働するため、大掛かりな壁の造作や防災設備の移設工事を回避でき、工期とコストを大幅に削減できます。

移設・レイアウト変更の容易さ

建築工事で作った喫煙室は、一度作ると移動が困難です。退去時には解体工事(原状回復)も必要になります。

一方、喫煙ブースは分解・組立が可能なため、オフィスのレイアウト変更や移転の際にも移設して使い続けることができます。資産として長く活用できる点も、ブース型の大きなメリットです。

喫煙所建築を支えるトルネックスの製品とサポート

喫煙所の設置は、法律、建築、空調、防災と多岐にわたる専門知識が必要です。

トルネックスは、分煙対策の専門メーカーとして、製品の提供だけでなく、設置に関わるコンサルティングも行っています。

  • 法令適合の確認:
    設置予定場所が法令基準を満たせるかどうかの診断。
  • 建築確認のサポート:
    屋外ブース設置時の確認申請に必要な図面や資料の提供。
  • 風速測定と報告書:
    設置後の性能測定と、助成金申請などに必要な書類作成のサポート。

「建築確認が必要かどうかわからない」「屋内に置けるブースを探している」など、どのような段階からでもご相談いただけます。

まとめ

喫煙所を建築・設置する際は、屋内であれば「改正健康増進法の技術的基準」、屋外であれば「建築基準法」や「近隣配慮義務」をクリアする必要があります。

特に屋外でしっかりとした喫煙所を作る場合は、建築確認申請などの手続きが必要になるケースが多く、専門的なノウハウが求められます。

一方で、屋内に設置する場合は、工事不要の「分煙脱臭ブース」を選ぶことで、建築工事の手間とコストを回避しつつ、法令に適合した喫煙環境を整備することが可能です。

自社の施設にはどのような設置方法が適しているのか、費用感や工期も含めて相談したい方は、ぜひWEB面談をご利用ください。専門スタッフがお客様の状況に合わせた最適なプランをご提案します。

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