工場や作業場の環境改善を検討する際、避けて通れないのが集塵機の導入です。しかし、多くの設備担当者や経営者を悩ませるのが、その価格設定の幅広さです。数万円で購入できる簡易的なものから、数百万円、時には一千万円を超える大規模なシステムまで存在し、何が適正価格なのか判断が難しいのが実情です。
集塵機選びで最も重要なのは、本体の購入価格(イニシャルコスト)だけを見るのではなく、導入後の電気代やメンテナンス費用(ランニングコスト)を含めたトータルコストで判断することです。安易に安価な製品を選んだ結果、数ヶ月で吸引力が落ちて使い物にならなくなったり、頻繁なフィルタ交換で維持費が膨れ上がったりする失敗例は後を絶ちません。
本記事では、産業用集塵機の種類ごとの価格相場を整理し、専門外の方でも失敗しないための選定ポイントを詳しく解説します。

産業用集塵機の主な種類と仕組み
集塵機は、何を吸い込み、どのように空気と分離するかという集塵方式によって、価格と性能が大きく異なります。まずは代表的な3つの方式を確認しましょう。
乾式集塵機(バグフィルタ・サイクロン)
最も一般的で、幅広い産業で使われているのが乾式です。
バグフィルタ式は、布や不織布で作られた袋状のフィルタで粉塵をろ過します。細かい粉塵の回収に優れますが、フィルタの目詰まりが避けられないため、定期的な払い落とし機能(パルスジェット式など)が必要です。
サイクロン式は、遠心力を利用して重い粒子を分離します。フィルタがないため目詰まりの心配がありませんが、微細な粉塵は取り逃がしてしまいます。そのため、バグフィルタ式の前段に設置されることが多い方式です。
価格相場:
小型・移動式:15万円〜50万円
中型・定置式:50万円〜200万円
大型設備:300万円〜
湿式集塵機(スクラバー)
水や洗浄液を利用して粉塵を捕集する方式です。
水の中に粉塵を潜らせたり、水滴をスプレーしたりして粒子を重くして落下させます。火花を含む粉塵や、爆発のリスクがある金属粉(アルミニウムやマグネシウムなど)の処理、あるいは水溶性のガスの除去に適しています。
価格相場:
中型〜大型:150万円〜600万円以上
(排水処理設備が必要な場合、付帯工事費が加算されます)
電気集塵機
静電気の力で粒子を帯電させ、極板に吸着させる方式です。
フィルタの網目で遮るのではなく、電気的な引力を利用するため、空気の通り道が広く、圧力損失(空気抵抗)が極めて低いのが特徴です。油煙(オイルミスト)といった、一般的なフィルタではすぐに詰まってしまう微細で粘着性のある物質の除去に非常に高い能力を発揮します。
価格相場:
中型機:40万円〜150万円
失敗しない集塵機選定の3つのポイント
カタログ上の価格や風量だけで決めてしまうと、現場では期待通りの性能を発揮できないことがあります。以下の3点を必ず確認しましょう。
対象物の性質(粉・煙・油)を見極める
吸い込みたい対象が乾いているか、湿っているか、あるいは油を含んでいるかによって、最適な機種は180度変わります。
乾いた木くずや金属粉であればバグフィルタ式がコストパフォーマンスに優れますが、ここに少しでも油分や水分が混ざると、フィルタ表面に泥状の膜が張り、一瞬で吸引力が失われます。加工機からのオイルミストを扱う場合は、最初からそれ専用に設計された電気集塵機やミストコレクターを選ぶのが賢明です。
粒子の大きさと捕集効率
対象となる粒子のサイズ(μm:マイクロメートル)を確認してください。目に見える切り粉であれば安価な集塵機で十分ですが、肺の奥まで入り込む微細なオイルミスト(0.1〜1μm程度)を確実に除去するには、高い捕集効率を持つフィルタや電気集塵方式が必要です。環境基準をクリアし、作業員の健康を守るためには、この性能部分での妥協は禁物です。
メンテナンス性とランニングコスト
集塵機は導入して終わりではありません。むしろ、導入後の運用が本番です。
電気代はどのくらいかかるのか、フィルタ交換は自分たちでできるのか、専門業者を呼ぶ必要があるのか。フィルタ1枚の価格はいくらで、年に何回交換が必要か。これらを事前にシミュレーションしてください。安価な集塵機を購入しても、毎月のフィルタ代が数万円かかってしまえば、1年後には高性能な高級機を買えるほどの金額を支払うことになります。
集塵機のトラブルと安全対策
不適切な選定やメンテナンス不足は、単なる性能低下だけでなく、重大な事故を引き起こす可能性があります。
フィルタの目詰まりと吸引力低下
フィルタが詰まると風量が落ち、本来吸い込むべき有害物質が工場内に蔓延します。これは労働安全衛生法上の問題になるだけでなく、作業者の健康被害に直結します。差圧計をチェックし、一定の抵抗値を超えたら速やかにメンテナンスを行う体制を整えることが、結果として機械の寿命を延ばすことにもつながります。
火災・粉塵爆発のリスク
集塵機内部には、可燃性の粉塵が大量に蓄積されます。ここに加工機からの火花が吸い込まれたり、静電気が発生したりすると、爆発的な燃焼が起こる危険があります。
ダクト内に粉塵を溜めない設計や、防火ダンパーの設置、定期的な清掃は、工場経営におけるリスクマネジメントの基本です。特に油分を扱う現場では、ダクト内の油に火が回ると消火が極めて困難になるため、入り口で確実に油煙をカットすることが重要です。

微細なオイルミスト対策なら「リドエアートルネックス」
工場の環境改善において、最も厄介な「油煙」と「微細な煙」の問題を根本から解決するのが、リドエアートルネックスです。従来の集塵機とは一線を画す、その特徴を解説します。


目詰まりしない電子式集塵フィルタ
リドエアートルネックスの最大の特徴は、電子式集塵フィルタを採用している点です。物理的な不織布フィルタとは異なり、金属プレート間に高電圧をかけて粒子を吸着させるため、空気の通り道が塞がれることがありません。
これにより、粘着性が強くフィルタをすぐにダメにしてしまうオイルミストを長時間吸い続けても、強力な吸引力を維持し続けることができます。
省エネ性能でランニングコストを削減
空気抵抗が極めて少ない構造は、経済的にも大きなメリットをもたらします。ファンを回すための負荷が小さいため、一般的なフィルタ式集塵機と比較して、消費電力を大幅に削減できます。
具体例を挙げると、一般的な集塵機30台をリドエア―トルネックスの個別設置タイプRB600に入れ替えた場合、年間の電気代を約378万円から124万円へと、約250万円も削減できる試算があります。この電気代の差額だけで、後述するプロのメンテナンス費用を賄うことも可能です。


メンテナンスのアウトソーシング
集塵機の清掃は、油汚れや微細な粉を扱うため、現場作業員にとって大きな負担となります。リドエアートルネックスでは、メーカーの専門スタッフによる定期メンテナンス(フィルタ洗浄・点検)プランが用意されています。
自社のスタッフは生産業務に集中でき、集塵機は常にプロの手によって最良の状態に保たれる。この循環が、火災リスクの低減と、安定した作業環境の維持を約束します。
| 集塵方式 | 主な対象 | 本体価格 | 電気代 | 消耗品 | 特徴 |
| バグフィルタ式 | 木工、研磨、粉体作業 | 15万円〜 | 中〜高 | フィルタ交換が必要 | 粉塵回収に強いが、油分・水分に極めて弱い |
| 湿式(スクラバー) | 火花混入粉塵、爆発性金属 | 150万円〜 | 高 | 水、薬剤 | 安全性は高いが、排水処理の手間とコストが大きい |
| 電子式(リドエアートルネックス) | オイルミスト | 60万円〜 | 極めて低い | ほぼなし(洗浄して再利用) | 目詰まりせず吸引力が持続。トータルコストが安い |
リドエアートルネックスの導入事例
大規模工場での労働安全と設備保護
- 導入: 計41台のオイルミストコレクターを集中的に配置。
- 効果: 床のスベリが解消され、作業員の安全性が向上。回収オイルの再利用も可能になりました。また、オイルミストによる業務用エアコンの負荷が軽減され、故障抑制・長寿命化にも貢献しています。



まとめ
産業用集塵機の選定は、単に「価格が安いから」「風量が大きいから」という理由で決めるべきではありません。現場で発生している物質の正体を正しく把握し、それに対する最適な捕集方式を選ぶことが、失敗しないための唯一の道です。
初期投資を抑えることに固執するあまり、現場の清掃負担が増えたり、電気代がかさんだりしては本末転倒です。特に、オイルミストが問題となっている現場では、目詰まりがなく省エネ性能に優れた電子式集塵機の導入を検討してみてください。
リドエアートルネックスのような、メンテナンスまでパッケージ化されたソリューションを活用することで、長期的なコスト削減と、従業員が安心して働ける健康的な職場環境の両立が可能になります。自社の課題に合わせた最適な選択が、工場の生産性を高める第一歩となるはずです。
次の一手として、現在の集塵環境におけるフィルタ交換費用と電気代を算出し、最新の省エネ機種とのコストシミュレーションを行ってみることをおすすめします。
