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喫煙室の基準と作り方|換気扇だけでは不十分?設備要件と選び方を徹底解説

オフィス、商業施設、ホテル、病院など、多くの施設管理者が頭を悩ませているのが「喫煙室」の設置と運用です。2020年の改正健康増進法施行以降、屋内喫煙所の基準は厳格化されました。「換気扇をつけたけれど、たばこの臭いが漏れてクレームになる」「法令基準を満たしているか不安だ」といった相談は後を絶ちません。

喫煙室は、単に部屋を区切って換気扇を回せばよいというものではありません。法律で定められた数値基準をクリアし、かつ利用者の快適性と周囲への配慮(受動喫煙防止)を両立させるためには、専門的な計算と適切な設備選定が必要です。

本記事では、改正健康増進法に基づく技術的基準の解説から、排気風量の計算方法、そして換気扇だけでは対応しきれない場合の解決策について、具体的な数値を交えて解説します。あわせて、工事不要で法的基準をクリアできるトルネックスの分煙脱臭ブース(IKBJP)などのソリューションも紹介します。

喫煙室とは|基本の仕組みと法令基準

まず、喫煙室を設置する上で避けて通れないのが「改正健康増進法」の理解です。曖昧な知識のまま設置してしまうと、後に保健所の指導対象となり、最悪の場合、建物管理責任者に最大50万円の過料が科せられるリスクがあります。

喫煙専用室と加熱式専用室の違い

喫煙室にはいくつかの種類がありますが、主なものは「喫煙専用室」です。これは、紙巻たばこを含むすべてのたばこの喫煙が可能ですが、室内での飲食などは不可とされるスペースです。一方、「加熱式たばこ専用喫煙室」は、加熱式たばこのみが喫煙可能で、経過措置として飲食等が認められる場合があります。

いずれの場合も、施設内に煙を漏らさないための「技術的基準」を満たすことが義務付けられています。

喫煙室に求められる3つの技術的基準

改正健康増進法では、屋内に喫煙所を設置する場合、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。

  1. 区画:
    たばこの煙が室内から室外に流出しないよう、壁、天井等によって区画されていること。
  2. 排気:
    たばこの煙が屋外又は外部の場所に排気されていること。
  3. 気流(重要):
    出入口において、室外から室内に入ってくる空気の流れ(進入風速)が「0.2m/s」以上であること。

特に重要なのが3つ目の「進入風速0.2m/s以上」という基準です。これは、ドアの隙間や開口部から、非喫煙エリアに向かって煙が逆流しないために必要な空気の流れの強さを示しています。

正しい風速測定の方法

「換気扇が回っているから大丈夫」とは限りません。0.2m/sという数値は、感覚ではなく、風速計を用いた厳密な測定によって確認する必要があります。

測定は、喫煙所の入口開口部に対して行います。開口部の中央を「上部・中部・下部」の3点に分け、それぞれ3回測定して平均を算出します。

【ここが落とし穴】

よくある勘違いとして、「上中下の総合平均が0.2m/sあればよい」と思われがちですが、これは誤りです。上・中・下のすべてのポイントで風速0.2m/s以上をクリアしなければ、違法な喫煙所とみなされます。例えば、上部と中部は0.2m/sを超えていても、下部が0.13m/sであればNG判定となります。

喫煙室に必要な換気・吸引・脱臭設備

喫煙室のクレームで最も多いのが「臭い漏れ」です。これは多くの場合、換気能力の不足や気流制御の失敗に起因します。なぜ一般的な換気扇だけでは不十分なのか、技術的な側面から解説します。

換気扇だけでは不十分な理由

家庭用や一般的な業務用の換気扇は、あくまで「空気を入れ替える」ためのものであり、たばこの煙のような強い臭気や粉塵を強力にコントロールすることを前提としていない場合があります。

特に、既存の建物で天井換気扇を増強しようとする際、排気ダクト(配管)の太さがボトルネックになることがよくあります。細い配管のまま強力な換気扇に交換しても、空気が詰まってしまい十分な排気風量が得られません。また、新たに太いダクトを通す工事は高額になりがちで、テナントビルの場合はオーナーの許可が下りないこともあります。

必要な排気風量の計算方法

計算上0.2m/sぴったりで設計しても、フィルタの目詰まりや外風の影響などにより、実際の運用では基準を下回ってしまう恐れがあります。そのため、実務上は余裕を持たせた数値(例えば 0.25m/s など)を目標に設定し、確実に基準をクリアできる設備を選定することが重要です。

排気が難しい場合の「経過措置」と脱臭基準

「ビルの構造上、どうしても屋外への排気ダクトが出せない」

このような既存建築物(2020年4月1日時点で存在するもの)に対しては、特例として「経過措置」が認められています。

屋外排気が困難な場合でも、以下の要件を満たす「脱煙機能付き喫煙ブース」を設置すれば、排気を室内に戻す(循環させる)ことが可能です。

  • 総揮発性有機化合物(TVOC)の除去率が95%以上であること
  • 排気される空気の浮遊粉じん量が0.015mg/m³以下であること
  • 喫煙室内に向かう気流0.2m/s以上が確保されていること

つまり、換気扇で外に出せない場合は、高性能なフィルタと脱臭機能を持つ設備を導入し、空気をろ過して綺麗にする必要があるのです。

喫煙室の設置方法と改善ポイント

新設する場合も、既存の喫煙所を改修する場合も、コストと効果のバランスを見極めることが大切です。0.2m/sの風速が出ない、あるいは換気量が足りない場合の具体的な対策案を、コストが低い順等の視点で紹介します。

1. 開口面積を減らす(ビニール暖簾の活用)

最も手軽な対策の一つが、入口の開口面積を物理的に小さくすることです。

例えば、ビニール暖簾(のれん)を設置してドアの開いている部分を狭くすれば、同じ排気風量でも入り口を通る風のスピード(流速)は速くなります。

計算例:

現状の排気量が324m³/hしかなく、風速が0.05m/sしか出ていない場合でも、開口面積を0.3m²(幅33cm程度)まで絞れば、計算上は0.25m/sの風速を確保できます。

ただし、この方法は排気量そのものが増えるわけではないため、室内が煙で充満しやすくなります。必ず「分煙カウンター」などの集塵機を併用し、内部の空気を浄化する対策とセットで考える必要があります。

2. エアカーテンの設置

ドアを開けっ放しにしたい、あるいは暖簾ではデザイン的に問題がある場合は、「エアカーテン」の設置が有効です。

入口の上部から下に向かって強い空気を吹き下ろすことで、「空気の壁」を作り、煙の流出を防ぎます。改正健康増進法対策として、エアカーテンによって遮断効果を高めることは認められており、推奨される風速(遮断流)は0.1m/s以上が目安となります。

※注:測定時はエアカーテンを止めた状態での風速確認が必要な場合がありますが、実運用上の遮断効果として有効です。

3. 窓換気扇の増設

喫煙室に窓がある場合、窓ガラスを加工して換気扇を取り付ける方法があります。

窓ガラスをアルミ板などに交換し、そこに産業用等の強力な有圧換気扇を設置します。これにより排気風量を稼ぐことができますが、高層階では足場代がかかる、あるいは設置自体ができない場合があるため注意が必要です。

4. 脱煙機能付き喫煙ブース・脱臭装置の導入

最も確実かつ、経過措置にも対応できるのが、専用の喫煙ブースや脱臭装置の導入です。

分煙脱臭ブース(IKBJP・IKCJP)と脱臭装置の特徴

トルネックスでは、法令基準をクリアし、かつ設置のしやすさを考慮した製品ラインナップを展開しています。

分煙脱臭ブース

IKBJP(4~8人用)」および「IKCJP(1人用)」は、置くだけで喫煙室としての機能が完結するパッケージ型ブースです。

  • 工事不要・簡単設置:
    コンセントをつなぐだけで稼働し、大掛かりなダクト工事が不要です。
  • 高い脱臭効果:
    経過措置の基準(TVOC除去率95%以上)をクリアする性能を持ち、排気を室内に戻しても臭いが気になりません。
  • 省エネ運転:
    人感センサー付きで、人が入ったときだけ脱臭運転を行うため、ランニングコストを抑えられます。
  • コンパクト:
    IKCタイプは幅820mm×奥行1,000mmと非常にコンパクトで、狭いスペースにも設置可能です。

高性能プラズマ集塵脱臭装置

「VFL」は、天井裏などに設置する強力な脱臭装置です。

ワンパス(1回の通過)で95%以上のTVOC除去率を誇り、排気風量は23m³/min(1,380m³/h)を実現しています。

【VFLの活用メリット】

排気ができない喫煙所において、VFLで浄化したきれいな空気を「非喫煙エリア(喫煙所の外)」へ排気することで、喫煙所内の空気を吸い出す形を作ります。これにより、喫煙所入口で0.2m/sの進入風速(喫煙所へ向かう気流)を確保することが可能になります。

空調ロスがなく、換気扇の増強が難しいテナントビルなどで特に効果を発揮します。

喫煙環境の整備を支えるトルネックスの強み

喫煙室の設置は、単に機器を買えば終わりではありません。トルネックスは、メーカーとしての製品提供だけでなく、法令遵守のための調査から提案までトータルでサポートしています。

  • 風速測定:
    自社の喫煙所が法令基準(0.2m/s)を満たしているか、専用の風速計を用いてで診断します。
  • 最適な改善提案:
    測定結果に基づき、換気扇の増設で済むのか、ブース導入が必要なのか、あるいはビニール暖簾などの低コスト対策で対応可能か、お客様の予算と状況に合わせた提案を行います。
  • 豊富な実績:
    多くのオフィスビルや商業施設での導入実績があり、経過措置対応のノウハウも熟知しています。

まとめ

喫煙室を設置・運用するためには、改正健康増進法の「技術的基準」、特に「進入風速0.2m/s以上」と「屋外排気(または経過措置対応の脱臭性能)」をクリアすることが必須です。

単に換気扇をつけるだけでは、風量不足で基準を満たせなかったり、臭い漏れの原因となったりすることがあります。まずは現状の喫煙室の風速を正しく測定し、排気風量が足りているか計算することがスタート地点です。

その上で、排気ダクトの工事が難しい場合は、トルネックスの「分煙脱臭ブース(IKBJP/IKCJP)」や「プラズマ脱臭装置(VFL)」といった、法令対応型の設備導入を検討することをお勧めします。

「自社の喫煙所が基準を満たしているか不安」「どの設備を選べばよいかわからない」という方は、ぜひWEB面談をご利用ください。専門スタッフが法令解説から最適なプランニングまで、わかりやすくサポートいたします。

 

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